生徒がただ問題を解いているだけなら、自習室でも、家でもできます。
では、そこに講師がいる意味は何でしょうか。
私たちが提供しているのは、単に勉強する場所ではありません。
生徒一人では気づけなかったことに気づかせる。
一人では分からなかったことを分かるようにする。
何を勉強すればいいのか迷っている生徒に、次にやるべきことを示す。
そして、昨日できなかったことを、今日できるようにする。
そこにこそ、講師がいる価値があります。
だからこそ、日々の授業の中で、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
「今の授業は、本当に生徒にとって価値のある時間になっているだろうか」
今回は、そのことについて4つの視点から考えてみたいと思います。
それは、「良い授業とは、いったい何だろう?」ということです。
生徒が静かに問題を解いている。
先生が○付けをしている。
質問されたら答える。
もちろん、それも授業の一部です。
でも、それだけで本当に、生徒や保護者の方が「塾に来てよかった」と思ってくれるでしょうか。
私たちが提供しているのは、「勉強する場所」ではありません。
生徒が一人ではできなかったことを、講師の力によって「できるようにする場所」です。
だからこそ、日々の授業の中で、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
生徒にとって、「この塾に来てよかった」と思える授業を

①「自習のほうがお得」になっていないでしょうか
以前、「授業を受けるより、自習にして、机間巡視の先生に教えてもらったほうが得なのではないか」という声を聞きました。
これは、講師の皆さんを責めたいという話ではありません。
むしろ、私たちが一番注意しなければならないことだと思っています。
例えば、自習している生徒には、講師が横について親身になって時間をかけて教えている。一方で、通常授業の生徒にはタブレットの動画を見てもらい、○付けと簡単な解説だけ。
もしそんな状態になっていたら、少し不思議なことが起きています。
本来、一番大切にしなければならないのは、授業料を払って「授業を受けに来ている生徒」です。
| 生徒 | 講師が意識したいこと |
|---|---|
| 通常授業の生徒 | 理解度を確認し、◯付け及び必要な指導・発問・解説を行う |
| 自習の生徒 | 質問には対応するが、授業の生徒への指導を優先する |
「自習に来たほうが先生にたくさん教えてもらえる」ではなく、
「授業を受けに来たからこそ、先生にしっかり教えてもらえた」
という状態をつくっていきたいと思います。
②少しだけ、自分自身に問いかけてみてください
この仕事は、実は「楽をしよう」と思えば、楽ができてしまう仕事です。
- ○付けの机に座っている。
- 教室に立っている。
- 生徒から質問されるのを待っている。
- 机間巡視をしている。
これだけでも、時間は過ぎていきます。
でも、2コマの授業が終わったときに、「今日は疲れたな」と感じるくらい、生徒のために動いているでしょうか。
もちろん、疲れていることが良い授業の条件というわけではありません。
ただ、良い授業をしようとすると、自然とやることが増えるはずです。
- あの生徒は、さっきから手が止まっている。
- この生徒は、同じ間違いを何度もしている。
- この子は、次に何をすればいいのか分かっていない。
- この問題は、もう少し違う説明をしたほうが分かりやすい。
こうやって生徒を見ていると、講師からやるべきことがどんどん見えてきます。
講師は、「その場にいる人」ではありません。
生徒を見て、生徒に働きかけ、生徒を一歩前に進める人です。
③講師は「一緒に考える人」ではなく、「教える人」です

○付けや解説をしているときにも、大切にしてほしいことがあります。
生徒と一緒になって、いつまでも問題について考え込まないことです。
もちろん、生徒自身に考えさせることは大切です。
しかし、講師が「うーん、どうだろう?」と生徒と一緒に考え続けてしまえば、その間、別の生徒が待つことになります。
待っている生徒が増えていけば、教室全体が回らなくなってしまいます。
講師には、「教える力」が必要です。
例えば、
- この問題で一番大切なのは何か。
- どこを見れば解き方が分かるのか。
- このタイプの問題は、どういう順番で考えるのか。
- 生徒がどこでつまずきやすいのか。
これらを講師自身が理解し、短い時間で分かりやすく伝えてあげる。
そのためには、授業の前から準備しておくことも大切です。
「この問題なら、こう説明する」
「ここは生徒が間違えやすい」
「このポイントを伝えれば理解できる」
そうした解説の引き出しを、少しずつ増やしていってください。
良い講師は、何でも生徒と一緒に考える講師ではありません。
生徒が困ったときに、「なるほど、そういうことか」と思える道筋を示してあげられる講師です。
④定期テスト対策で、「問題を解かせて終わり」になっていませんか
定期テスト対策では、特にここを意識してほしいと思います。
学校のワークを持ってきて、最初から順番に解く。
○付けをする。
間違えたら解き直す。
これだけなら、生徒は自習でもできます。
私たちは、自習室として「勉強する場所」を貸しているわけではありません。
生徒や保護者の方から授業料をいただいて、塾として授業を提供しています。
だからこそ、講師には「何をやらせるか」を考えてほしいのです。
| ただ問題を解かせる | 講師が指示を出す |
|---|---|
| 学校ワークを最初から進める | 目標点に合わせて優先順位を決める |
| 間違えたら解き直す | なぜ間違えたのかを確認する |
| 終わったら次へ進む | 理解度を見て次の問題を指示する |
例えば、目標点が80点の生徒と、50点の生徒では、やるべきことは同じではありません。
「この生徒はまず基礎を固めよう」
「この子はこの単元を重点的にやろう」
「ここまでできたら、次はこの問題に進もう」
そうやって、生徒一人ひとりに合わせて指示を出す。
それが、講師がいる意味だと思います。
「生徒を勉強させる」のではなく、「生徒を前に進める」
塾に来れば、生徒は問題を解きます。
でも、問題を解くだけなら、一人でもできます。
だからこそ、講師がいる意味があります。
見る。
気づく。
声をかける。
教える。
指示を出す。
間違いを見つける。
次にやることを決める。
そして、生徒を一歩前に進める。
これが、私たちが考える講師の仕事です。
「今日、塾に来てよかった」
「先生に教えてもらって分かった」
「次はこれを頑張ればいいんだ」
生徒にそう思ってもらえる授業を、一つひとつ積み重ねていきましょう。
夏期講習を頑張ってくれた皆さんだからこそ、ここからもう一段、良い授業を一緒につくっていければと思っています。
これからもよろしくお願いします。


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